福田里香×古川耕×金田淳子 「進撃のフード理論」
5月23日に、下北沢のB&Bにて開催されたトークショー「進撃のフード理論」に行ってきた。
福田里香さんの『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』を読んで、フード理論に興味を持ったのがきっかけ。
実は当方、『進撃の巨人』はコミックス5巻までしか読んでいないし、アニメ版も未見。
というわけで、以下の文章は、拾い切れないネタも多々あり、また、ヒアリング力と表現力には恵まれていないため、かなり不正確な書き起こしとなる。
それでもよろしければ以下をどうぞ。
会場のB&Bは、こじんまりとした書店で、客席と出演者はほぼ0距離。目の前でトークが繰り広げられる。チケット代に含まれる飲物をオーダーしてスタンバイ。
福田さんは、柄の入ったグレーの品の良いワンピース姿で登場。
古川さんは「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」を手がける放送作家で、帽子が実に様になっている。
フード理論の成り立ち
- 実は、『進撃の巨人』の編集者後任の公認イベント。(福田さんが編集者からのメールを読み上げる。)
- 福田さんが「ウィークエンド・シャッフル」に送った『サマーウォーズ』の感想メールがフード理論の原型。古川さんの目に留まり、ラジオ番組に出演。それをきっかけにWebのコラム連載が始まり、書籍化された。
- 書籍化する際には、かなり加筆されたとのこと。何故なら、書けば書くほどオノ・ナツメさんの素敵イラストが付くから。
フード理論の三原則:
1.善人はフードをおいしそうに食べる
2.正体不明者はフードを食べない
3.悪人はフードを粗末に扱う
追加:食べものでたわいもないギャグをするのは憎めないヤツ
『進撃の巨人』をフードで読み解く
- 『進撃の巨人』の作者、諫山創はTBSラジオのリスナー。福田さんが出演した回を聴いており、作中にもフード理論を援用している。
- 『進撃の巨人』は、実はフードマンガ。『進撃』は巨人が人を食べるフードマンガである。
- 巨人は人間を食べるだけでなく、吐き出してしまう。何のために食べるのか、分からないところが恐ろしい。食物連鎖の外にいる。
- マンガの表現規制が進むと、エロや暴力がNGとなり、フードマンガが増える。人間の三大欲、性欲、食欲、睡眠浴で、性や暴力が規制され、睡眠では話が動かないので、結果フードマンガが増える。
- 『花のズボラ飯』は、人妻のヒロインが単身赴任中の旦那の眼を盗んで、飯を食う≒自慰を行なうマンガでもある。
- 『花のズボラ飯』の2巻の表紙で、ヒロインがクッキーを袋を口でかじる姿は、コンドームの袋を破るイメージを連想させる。
- 『ズボラ飯』旦那の名前が『孤独のグルメ』の主人公と同じ。
- (古川さん)『花のズボラ飯』だけは生理的に受け付けない女性がいるのは、隠されたエロ表現を読み取っているからでは。
- 『進撃の巨人』は人が捕食される側となる新しいフードマンガ。しかも、雑に食べられてしまう。
- 『進撃の巨人』は、食堂マンガでもある。食事のシーン、食堂のシーンが多い。
- エレンが家族の団欒を回想するのは、母とミカサが皿洗いをするシーン。
- 「成果」「糧」という食をイメージさせるワードが出てくる。
- サシャはフード理論でいうところの憎めないキャラ。
- 食堂マンガ、学食マンガとしては、『トーマの心臓』の学食のケンカシーンが秀逸。
- 『トーマの心臓』と『進撃の巨人』の二つを読み合わせてみると面白い。
- ミカサがガス欠で果物屋の屋台に落ちるシーンは、マンガ版ではその果物が何か分からないが、アニメ版ではザクロが強調して描かれる。ザクロ=東洋系、子供を食らう鬼子母神に与えられた果物、人体や血の色のイメージ、西洋では繁栄や多産の象徴など、多様な意味を持ち、表現として秀逸。
『進撃の巨人』と文具
- (古川さん)カッターナイフを武器とするのが、画期的。カッターナイフは、日本発祥の文房具で、海外では「ジャパニーズ・ナイフ」と呼ばれる地域もある。
- でも、カッターナイフのように刃が折れるのは、武器としてはどうなの・・・?
「フード理論」⇒「腐女(ふーじょ)理論」
後半は、金田淳子さんが「萌え」と書かれた黒ジャージ姿(インナーはフェミニンなのがポイントだそう。)で登場。
リヴァイ兵長への萌えを熱く語る語る語る。つられて福田さんもヒートアップ、巨人と化した二人の弾丸トークに、古川さんが一人、理性の言葉で立ち向かう。会場は笑いの渦に。
リヴァイ兵長の萌えどころ
- 一人旅団。
- 階級は『ケロロ軍曹』だとドロロのレベル?
- 元ゴロツキ。
- 潔癖、キレイ好き。
- 「黒い、強い、目つきが悪い、口が悪い、背が低い」ニヒルなキャラ: cf 「飛影」
- 160センチ、65kg
- 実は30代。
- (福田さん)カップの行儀の悪い持ち方が特徴。「小指は添えるだけ」。
作画エラー!?
- 時間の経過を表すコマ割りが古くさい。ページの"のど"の部分で分かりにくい。
- コーヒーカップがエスプレッソサイズに見える。
- (古川さん)「作画エラー」=残念な作画のこと
- そういえば、食堂のテーブルの遠近もあやしい・・・。台形のテーブル?
- (福田さん)でも諌山さんは一生懸命、細かく描き込んでるの!
- 『トーマの心臓』のコマをスライドに映す。萩尾先生はスプーンの造形、持ち方等々、やはり作画が正確!
金田淳子さんの快進撃トークはまだまだ続く・・・
- 『進撃の巨人』に出るとしたら、だらしない体型のモブ巨人役で。
- 心臓どころか腎臓も捧げる!
- (リヴァイとエレン、二人きりの食堂シーン)これはもう事後ですね。
- 夏のコミケでは、ジャンルが独立していない。よって、会場のあちこちを回らねばならない。下手をすると、調査兵団は「何の成果も得られませんでした!」ということに。
- (以下略)
てな感じで、2時間以上も熱いトークが繰り広げられた。
福田里香×古川耕×金田淳子 の3氏のトークイベント、これ一回きりと言わず、B&Bでも別の媒体でもいいので、ぜひシリーズ化してほしい。
ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50
- 作者: 福田里香,オノ・ナツメ
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2012/04/12
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- 作者: 諫山創
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